2016年 IEEPO

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【開催日】  2016年3月2日(水)、3日(木)
【場 所】  コペンハーゲン(デンマーク)
【テーマ】  イノベーション
【参加国】  45か国 250名以上
【参加患者団体】がん患者団体、リウマチ患者団体、精神疾患患者団体、肝炎患者団体、その他患者団体
【代 表】  Mary G Baker, MBE (President, European Brain Council)
【内 容】  アドボカシー活動、ファンドレイジング、医療評価へのアプローチ、アウトカムに携わる、ネゴシエーション、組織発展へのアプローチ、バイオシミラー

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【プログラム】

Module 1: Innovations in patient advocacy
Carolina Cohen Hasbani, ブラジル
Cheryl Koehn, カナダ
Marco Blom, オランダ

アドボカシー活動のベストプラクティスが発表されました。それぞれは異なる活動ですが、共通していたのは、自分の疾患を知ること、協働すること、革新的であること、戦略的に持続可能かつ測定可能な形で行うことの4つのポイントでした。
ブラジルからはがん患者も含めた各ステークホルダーが集まり、国として1つの組織を作った取り組み、カナダからはリウマチ患者団体によるカナダの患者、企業双方に向けた就労問題への取り組みが紹介されました。オランダからはアルツハイマー患者のスティグマ、家族、ケアギバーのサポートを目的としたカフェの展開が紹介されました。

Module 2: Innovative approaches to fundraising

Arasb Ahmadian, イラン
John Saunders, アイルランド
Anne Bruning, ドイツ

影響力のあるものを効果的に使ったPRやクラウドファンディングなどの経済的支援を得るための経験、ヒント、手法について発表されました。
各演者からは、ファンドレイジングを行うに当たって、なぜ寄付が必要か、寄付で何を行うのかを社会へしっかり提示することが大事である、そして寄付をした方へもその行為に価値をつけ満足感を得てもらうことが重要との発表がありました。

日本の参加者より、支援を得るためにはブランディングの確立が重要であり、そのためにはスタッフの養成をきちんと行わなければリスクになると考えられる、とのコメントがあり、演者を含め参加者とスタッフ養成についての意見交換を行いました。

Module 3: Innovative approaches to valuing the benefit of treatments

Pedro Carrascal Rueda, スペイン
Linda House, アメリカ
Jennifer Bremner, ベルギー

患者は薬の評価方法をどのように変革させられるのか、に焦点が当てられました。患者の声を吸い上げるのに患者登録は重要であり、PlayDecide*ゲームの利用法を紹介すると多くの共感が得られ、それぞれの国に帰ってから患者会でも実施したいとの声があがっていました。

* PlayDecide:何かを議論し決定していく際に4-8人でカードを使いながら行うディスカッションゲームのこと。議論のテーマやゲームで使用するツールのフォーマットはネットから閲覧、ダウンロードが可能となっており、テーマごとに実施された結果は、集約されネット上に公開されている。

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Module 4: Keynote speech Strategic innovation in precision medicine: Are the regulatory systems ready?

Michael Doherty, アメリカ

遺伝子検査やウエラブルテクノロジーによって膨大な患者データがうまれ、一人一人にあった個別化治療の時代へ動き出しています。このプレシジョンメディスンに焦点をあて、臨床試験をより患者に適切なものとするための方法を探り、患者データを用いれば、そのデータは将来の原動力となると語りました。ただし、科学とテクノロジーの恩恵にあずかるためには、すべてのステークホルダーが準備をしなければならないことを強調し、患者、医師、革新的企業、政策立案者からまとまった要望や制約がある中で、全員で取り組むことこそが前進する唯一の方法であると発表しました。

Module 5: Negotiating with regulatory bodies for innovative medicines

Bruno Flamion, ベルギー
Erik Briers, ベルギー
Magdalene Seguin, 南アフリカ

規制当局と革新的治療について議論する際に患者団体が持つ役割についての発表がありました。ベルギー患者アドボケートのエリックさんは、患者に新しい選択肢をもたらす患者参画について熱い発表を行い、自分の疾患についての知識とノウハウが非常に重要だと語りました。同じくベルギーのブルーノさんも、規制が決まっていく過程に患者がいかに参画していくかというガイドラインについて発表しました。
エリックさんは「新しい治療は大変な努力の結果生まれるものです。患者に選択肢を与えてくれる希望です。患者が望む希望の将来を形作るために、前臨床や臨床研究についての議論には患者がいなくてはならないのです。」と発表されていました。

Module 6: Innovative approaches to develop small organisations

Richard Vines, オーストラリア
Marek Jaakson, エストニア
Rita O. Christensen, デンマーク

大中小3つのタイプの患者団体から、それぞれ患者団体をどのようにはじめ、構築し、発展させていくかについての発表がありました。ポイントはミッションを明確にすること、法人の権利を取得すること、他の団体から知識を得ること、団体内外やボランティアとの交流を図ることでした。演者からは、一緒に声をあげればより大きな声になる、よりかたい絆には信用が欠かせない、注目を引き寄せるには大胆でなければ、などの発表があり、演者の一人であるオーストラリアのリチャードさんは「患者も企業もめざすものは同じだ」ということを強調しました。

日本の参加者からボランティアの集め方と、続けて協力を得るための方法、そして会の収益の上げ方についての質問があり、意見交換を行いました。

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Module 7: Question time

Severin Schwan, スイス

ロシュCEOであるセバリン・シュワンさんはCEO就任以来、毎年IEEPOに出席し、参加者との生の質疑応答に応じています。こうした対話型の人気セッションは年々拡大し、今年は患者団体との1時間半を超えるディスカッションとなりました。今後ますますデジタル化され、解析されていく患者データは、研究開発や臨床試験を進める上で間違いなく重要な役割を持ちます。行政、企業、患者の連携は非常に重要であり、われわれも効果的に患者データを使うことを約束すると語りました。

日本の参加者より日本の膵臓がんの状況を伝え、新薬開発を訴求し、意見交換を行いました。

Module 8: Innovations in measuring outcomes

Alicyn Campbell, アメリカ
Katerina Koutsogianni, ギリシャ
Anita Waldmann, ドイツ

QOL、患者による治療結果報告、シェアード・ディシジョン・メイキングは3名の講演の中で繰り返し登場した内容であり、臨床試験デザインや実臨床データにおける患者の声の重要性を改めて感じさせるものでした。

Module 9: Beyond innovation to biosimilars

Pat Garcia-Gonzalez, アメリカ
Saunthari Somasundaram, マレーシア
Bruno Flamion, ベルギー
Panos Kanavos, イギリス

バイオシミラーの今後の挑戦についてディスカッションが行われました。バイオシミラーの規制体制は国によって大きく差があります。そのような中で「信用」が大きなトピックとして挙げられ、名前も知らないような会社から申請された薬を承認するような規制の緩い体制が懸念されるときには特に重要だと話されました。進歩していることには間違いないが、規制当局やファーマコビジランスへの意見を伝える際に患者団体が担う役割はとても重要であると議論されました。

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【日本からの派遣者】   6名
NPO法人ミーネット 加藤 那津
一般社団法人高知がん患者支援推進協議会 川澤 成子
認定NPO法人オレンジティ 河村 裕美
NPO法人京都がん医療を考える会 清田 政孝
NPO法人ブーゲンビリア 谷合 公子
NPO法人がんと共に生きる会 濱本 満紀

 

【その他日本からの参加者】 2名
NPO法人ブーゲンビリア 内田 絵子
NPO法人パンキャンジャパン 眞島 喜幸
(五十音順)

【派遣者の感想・報告(要約)】

全体を通して

・普段話す機会のない国々の講演を聞き、がん以外の疾患の患者団体とも話ができたのは大変貴重な経験となった

・日本の患者団体同士の交流としても大きな意味があった

・治療法を医師の判断に任せるか、積極的に治療法決定に参加するかなどで国によって患者の考え方に違いがあることを実感した

・臨床試験への患者参画や患者の意思決定は世界共通の課題であると感じた

・日本の患者団体のスキルやポテンシャルも世界に比して決して低くないと感じた

・講演内容のほとんどは、日本の患者団体でも行っていたり、さらに進んだレベルで行っていたりするものもある(例:審議会への委員輩出、患者目線の情報提供など)と感じ、それをアピールするためにも英語力の向上を図りたい

 

各講演について

・アルツハイマーカフェの仕組みは日本のがん領域でも活用できそうな気がした

・バイオシミラーの効果や安全性は患者にとって重要なので、もっと勉強しなければならないと思った

・医師、患者、看護師でそれぞれ別の視点を持っているというアンケート報告は興味深かった

・台湾やブラジルなど組織的にコンパクトな国では、疾病を超えた患者団体の連携や様々な患者参画につなげやすいのではと感じた、そして日本ではまず地域から始めてみたいと思った

一般社団法人 中外Oncology学術振興会議