2017年 IEEPO

 

 

 

【開催日】  2017年3月15日(水)、16日(木)
【場 所】  マドリッド(スペイン)
【テーマ】  Amplifying the patient’s voice
【参加国】  60か国以上 約300名
【参加患者団体】がん患者団体、神経疾患患者団体、眼科患者団体、炎症疾患患者団体、呼吸器疾患患者団体、希少疾患患者団体、その他患者団体
【代 表】  Mary G Baker, MBE (Past President, European Brain Council)

【プログラム】

Why isn’t the patient voice embedded in all healthcare decisions?

Mary Baker, イギリス
John Bowis, イギリス
Mayra Galindo, メキシコ
Alastair Kent, イギリス
Kin Ping Tsang, 香港

患者参画がまだ不十分であるという現状を踏まえ、イギリスからは、患者教育と政府からの啓蒙も必要であり、そのための投資や治療費節約といった資金管理も重要であるという発表と、医療者、政府らとのヒエラルキーの関係から、敬意を表すべき経験とスキルを持っている患者とのパートナーシップへの関係へ転換すべきという発表がありました。メキシコからは、患者の教育レベルや知識が不十分で政策決定に市民団体の参加ができていない現状の報告がありました。香港からは、患者組織の患者参画に向けた交渉スキルが不足しており、政策提言への対話能力が低いためにメッセージを訴えきれていない課題と、患者リーダーの育成、政策対話能力の向上、患者組織同士のネットワーク化などの解決策が紹介されました。

Understanding the environment

Track 1: Health policy

Cathy Scheepers, 南アフリカ
María Gálvez Sierra, スペイン
Jane Barratt, カナダ

南アフリカからは、科学的根拠に基づかない伝統的な治療が行われている医療体制があり、患者が参画するという意識もまだない現状が報告されました。スペインからは、15以上の患者団体が集まった全国組織を作り、患者の政策への関与を促し、患者の権利を守るアドボカシー活動を始めていることが紹介されました。ただし透明性の確保や、資金問題などの課題も抱えています。カナダからは、アドボカシー活動成功のため、アドボカシーのエキスパートセンターを作って橋渡し役を担うこと、エビデンスデータを作ること、ナレッジバンクを作ること、などの紹介がありました。

Track 2: R&D and regulatory processes

Surendra Gokhale, スイス
David Haerry, ベルギー

スイスからは、患者が臨床試験で重要視する項目は必ずしも企業、規制当局、そして医療者が重要視する項目とは一致しないと指摘し、患者の声を臨床試験デザインの段階で組み込めれば、開発される薬が患者のニーズにより一致したものになりうるとの発表がありました。ベルギーからはEMA(欧州医薬品庁)と患者との間で交わされた文書によるやり取りは8年間で3.6倍になり、患者はコンサルタント、ボードメンバー、アドボケイターとしてEMAと協働でき、ゆっくりではあるが確実に患者参画が進んでいるとの発表がありました。

Evidence supporting the patient voice

Track 1: Health Policy

Amanda Bok, ベルギー
Marcelle Medeiros, ブラジル
Liam Galvin, アイルランド

患者の声を活かすためのデータ収集はとても大事であり、政策提言を主な活動とする欧州血友病団体からは、欧州委員会を作ってコンセンサスを得ながら、各国ごとに医療者が中心となってデータ収集を行っている紹介がありました。ここでは、透明性を財政基盤に置き、独立性を保ちながらデータ収集をしています。特に患者、医療者、その他のステークホルダーとの360度のコミュニケーションを重視し、患者に対しては説明責任を明確化するため、紙に書いて渡すようにしており、活動はきちんと記録に残すようにしています。ブラジルからは、公的な場での発表に使えるよう、正式な研究機関でのデータ作成をしている事例の紹介がありました。アイルランドからは、ロビー活動のためのツールとして議員のツイッターをチェックすることや、写真やコンタクトリストを活用する事例が紹介されました。

Track 2: R&D and regulatory processes

Françoise Rouault, フランス
Jan Geissler, ドイツ 

フランスからは、データを取る際は、はじめのデザインが特に重要で、質問を作る段階から統計学者をメンバーに入れることで中身のある結論につながり、科学的根拠に基づいてデータを伝えることがとても重要であるとの発表がありました。ドイツからは、①患者をサポートし患者に伝えること、②政策に影響を与えること、③研究を向上させること、という患者団体の3つのルールが提示されました。医療者が当然薬を服用していると思い込んでいたCML患者が実際には3分の1しか指示通りに服用していなかったという調査の実例を挙げ、この調査は科学誌にも発表され今後の治療に大きな影響を与えるとし、科学的根拠に基づいたアドボカシー活動は変化をもたらすことを紹介しました。

Skills to support amplifying the patient voice

Heather Allan, オーストラリア
Emilio de Benito, スペイン
Louis J. DeGennaro, アメリカ

オーストラリアからは、患者の声を高め、影響力を高めるアドボカシーの重要性、戦略的アプローチには、患者とエビデンスと実現可能性が相互にかかわること、そしてメッセージハウスなどをつくって情報収集とキーメッセージの発信をし、偏見をなくせば社会の意識改革につながり、資金集めや理解が促進される、と発表されました。スペインからは、具体的な数字を使ってニュース性を高め、メディアで取り上げてもらうスキルについての発表がありました。アメリカからは、FDAと患者団体代表との橋渡し役を担い、メンバーが各自治体の議会へ提言書を送ったり、実際に議会の議員を訪問して会議を開いたりして、血液がんの治療の開発や全ての患者が治療にアクセスできる体制づくりのために活動している団体の紹介がありました。

Question time

Severin Schwan, スイス
Mary Baker, イギリス

ロシュCEOであるセバリン・シュワンさんと出席者との生の質疑応答は毎年行われており、今年も2時間近いディスカッションとなりました。医薬品を市場に出すには患者の声が必要であり、臨床からの重要なデータは患者が所有しているものである、と語りました。

Keynote: The right medicine to the right patient at the right time

Dietmar Berger, アメリカ

がんの治療は進展しており、3人のうち2人が5年以上生存するようになり、早期発見の重要性とともに、治療は患者1人1人に沿った個別化治療の時代になったということ、また患者による治験デザインのレビューや患者アドバイザリーボードの設置、従来の評価項目とは異なる患者に適した評価項目の設定などによって、患者の創薬への参画を進める重要性についても発表されました。

Bringing it all together: Amplifying the patient voice

Tamas Bereczky, ハンガリー
Durhane Wong-Rieger, カナダ
Chih-Liang Yaung, 台湾
Nirmala Bhoopathy, マレーシア

疾患の治療別、製薬会社別、特定の臨床試験ごとなどにコミュニティアドバイザリーボードを設置し、患者と医療者や製薬会社との橋渡し役を担う組織の紹介がありました。異なる疾患でも共通の課題を持っている団体同士でネットワークを作り、より大きな団体となれば患者参画を進めやすいという事例、患者団体が参画するために統計的な数字によるエビデンスを、アカデミアとともに作る事例なども紹介されました。

【日本からの派遣者】 7名

NPO法人キュアサルコーマ 大西 啓之
NPO法人血液情報広場・つばさ 鎌田 麗子
特定非営利活動法人 がんピアネットふくしま 鈴木 牧子
NPO法人脳腫瘍ネットワーク 田川 尚登
認定NPO法人乳がん患者友の会きらら 中川 圭
特定非営利活動法人パンキャンジャパン 眞島 喜幸
NPO法人 ブーゲンビリア 渡邊 法子
  (五十音順)

【報告書】

派遣者による報告書はこちら

 

 

【報告会】

2017年5月23日、CHAAOオフィスにて、IEEPO2017派遣者による報告会を開催しました。当日は、CHAAOメンバーのほか、FFJCP2018に向けたプログラム企画委員会の委員も任意で参加し聴講されました。各派遣者からはスライドを使った報告をしていただき、報告会当日に欠席された方からも事前にスライドを提出いただいて、代読にて発表いたしました。

出席者:

NPO法人キュアサルコーマ 大西 啓之
NPO法人血液情報広場・つばさ 鎌田 麗子
NPO法人脳腫瘍ネットワーク 田川 尚登
認定NPO法人乳がん患者友の会きらら 中川 圭
特定非営利活動法人パンキャンジャパン 眞島 喜幸
NPO法人京都がん医療を考える会 織茂 聡
NPO法人AWAがん対策募金 川﨑 陽二

 

一般社団法人 中外Oncology学術振興会議