事業報告

自 平成29年10月01日
至 平成30年09月30日

1.一般社団法人の現況に関する事項

(1) 事業の成果および経過

一般社団法人 中外Oncology学術振興会議(略称:CHAAO)は平成21年10月1日の設立以来「日本のがん医療を世界水準に」を指針とし、日本のがん研究・がん治療の発展に貢献すべく活動を行なって参りました。

平成29年度の事業は、引き続き医療従事者ならびにがん患者団体を対象に活動を展開いたしました。医療従事者に対する活動では、社団の主目的であるIAAO 2018開催を通じて、がん研究に関する最新情報の提供ならびにグローバルなネットワークの構築に貢献することができました。患者団体に対する活動では、国内がん患者会同士の活動経験交流、国内外のベストプラクティスの共有ならびに意見交換の場の提供を行い、がん患者のリテラシー向上とがん医療への参画の促進を側面から支援し、患者中心のがん医療に向けた取り組みに貢献いたしました。

(1)-1:医療従事者に対する活動

  1. 社団の最重要事業である「国際がんフォーラムIAAO2018」開催に関して、“Quantum Leap to Next Horizon in Cancer Research and Therapy”をテーマに、平成30年7月27日から2日間に亘って開催いたしました。今年で9回目となる本フォーラムでは、学術的に最新かつ重要と思われるテーマに関連した領域で非常に活発に研究を進めている研究者を中心に、海外演者13 名(欧州臨床腫瘍学会現会長、および米国癌学会前会長を含む)、国内演者1名を招聘し、国内のオンコロジー領域のオピニオンリーダーや若手研究者、医師など総勢200名を超える聴衆のもと活発な議論と交流がなされる国際会議となりました。
    今回は上記メインテーマのもと、Cancer ImmunotherapyとCancer GenomicsそしてPrecision MedicineをKey Topicsとしてこれらをプログラムの中心に置き、さらにNew Molecular Targetsに加えて抗がん剤耐性の機序とその克服に向けた最先端の研究にも目配りをした企画を行いました。Cancer ImmunotherapyではCheck-Point 阻害剤による治療の現状と次世代療法の開発に向けた取り組みについて、Precision Medicineでは臨床実装に向けた米国での現状と課題について、それぞれ世界の第一線で活躍する3名の研究者から講演いただきました。

    参加者のアンケートから「10名を超える世界トップレベルの先生からがん研究や治療に関する最新の話を集中して聴講でき直接ディスカッションできるこのようなフォーラムは国内では他になく、毎回参加を大変楽しみにしている」や「来年以降もこの会を継続して欲しい」と、多くの高い評価を得るとともに、講演された先生方からも「とてもエキサイティングで質の高い会であった」「ディスカッションを通じ我々も多くの知見を得た」との言葉をいただくことができました。
    本フォーラムの終了後に、IAAO Advisory Board meetingを4年ぶりに開催し、「新たにBoard Memberを引き受けていただいたDr. Josep Tabernero、Dr. Neal Rosen両先生の紹介」ならびに「2019年以降のフォーラムのあるべき姿・期待されるテーマについて意見集約」を行いました。

  2. 小規模学術講演会・シンポジウム事業として、地域のがん研究の活性化や治療の向上を目的に、全国のがん診療拠点病院や大学と協働し、個別のテーマに特化してがん研究の最新情報の共有化や世界的に著名な先生と直接交流できる場として、フォーカスシンポジウムを開催しております。今期は、平成30年2月に鹿児島がんフォーラム(鹿児島大学と共催)を開催いたしました。
  3. 褒章事業として日本癌学会と共同で創設したJCA-CHAAO賞に関しては、第7回JCA-CHAAO賞受賞記念講演会を平成29年11月にパレスホテル東京にて開催いたしました。平成30年9月には第8回JCA-CHAAO賞授与式が日本癌学会学術集会総会で行われ、「希少頻度のドライバー遺伝子異常を有する肺癌に対する個別化医療の確立を目指した治療開発体制の構築」(河野隆志先生、後藤功一先生)の表彰を行いました。受賞記念講演会は同年11月に東京ステーションホテルにて開催を予定しております。
  4. 学会および学術集会や研究会の支援活動として下記の助成事業を行いました。
    1. アジアからの研究発表を促し、学会活動の国際化に向けて取り組んでいる日本癌学会および日本臨床腫瘍学会に対し、第77回日本癌学会学術総会、第16 回日本臨床腫瘍学会学術集会に其々トラベルグラントによる支援を継続して行いました。
    2. 新しいがんゲノム医療の国内臨床実装への支援活動として、国立がん研究センターが企画・主催する「第3回 早期新薬開発試験・トランスレーショナルリサーチワークショップ」(平成30年7月)において、サポーターとして海外講師(Dr. David Hyman/Memorial Sloan Kettering)の招聘を支援しました。
    3. がん領域における将来の臨床研究のリーダーとなる若手医師を対象とした育成プログラム“JSMO/ASCO Young Oncologist Workshop2018”が日本臨床腫瘍学会により平成30年2月に開催され、ASCOからの海外講師1名(Dr. Pasi Janne/Dana Farber Cancer Institutes)の招聘に対するトラベルグラントを支援しました。
    4. Anti-Cancer Treatment Japanが5月に開催され、Dr. Gabriel N. Hortobagyiの特別講演の招聘に関するトラベルグラントの支援を行いました。
    5. 第22回日本がん免疫学会において海外より特別講演に招聘されたDr. Pramod K. Srivastavaに対するトラベルグラントによる支援を行いました。
  5. 日本国内の臨床・トランスレーショナル研究の若手研究者・医師の育成を目的とした助成事業として、3名の研究者・医師の米国臨床腫瘍学短期研修(STOFF)への派遣を前期同様に実施いたしました。

これらの活動を通じ、がん領域に関わる研究者・医師・関係者からの社団に対する認知度や評価を高めることができました。

(1)-2:がん患者会活動に対する支援事業

第4回全国のがん患者団体会議FFJCP(Forum for Japan Cancer Patients)2018を平成30年1月27日より2日間に亘り東京にて「新しいがん医療と患者参画を考える」を主要テーマに開催いたしました。会議には当社団と個別に「業務委託契約」を締結していただいた全国のがん患者会57団体、97名が参加いたしました。

  • 1日目は、我が国でも新しいがん医療として臨床実装に進みつつあるプレシジョンメディシンの日米の動向について、日本の現状を北里大学病院の福井朋也先生、米国の現状を「サイエンス37」のアリシア・ステイリー博士より講演いただきました。また、ファンドレイジングの日米の取り組みについて日本からは認定NPO法人東京共同代表の鈴木美穂氏より、米国ボストンの患者会からアジアン・ウーマン・フォー・ヘルス(AWFH)のチェン・チー・ファン理事長より講演いただきました。また本患者会フォーラムでは参加した全患者団体からポスター発表があり、それぞれの患者会の活動経験・ベストプラクティスの交流が行われました。
  • 2日目は患者参画(Patient-Centric)医療に関連する「医療者」「がん拠点病院」「行政」「患者会」の四つのステークホルダーとの連携や協働について、グループ討議を行い、発表と質疑応答やその後の全体討議を通じ、課題や成功事例、失敗事例の共有を行いました。
  • 「業務委託契約」では参加各患者会に、①自患者会活動に関するポスターを事前に作成、②患者会会議のポスターセッションにて活動報告の口頭発表、③FFJCP 2018 Proceedings(記録集)の執筆、編纂への協力、をお願いしています。CHAAOでは、FFJCP 21018終了後、参加患者会のご協力を得て、会議内容を中心にProceedingsにまとめて、7月にこれを出版することができました。本Proceedingsは7月以降、各参加患者会・がん患者を中心(一部は患者会を通じて、がん診療拠点病院・連携病院の患者相談室等にも)に、約2,000部を無料で配布しました。

(1)-3:社団活動の透明化と情報開示の強化の成果物として各患者団体で

当社団の活動内容の一層の透明化を進めるため、これまで官報に掲載してきた当社団の「事業活動報告(H29)」、「財務諸表」ならびに「外部支援の内訳(H29)」に関する情報を平成30年4月に当社団HPに掲載しました。

主な事業内容

医療従事者向け事業 患者団体向け事業
国際的ながん学術フォーラムIAAOの開催 国内がん患者団体交流会議FFJCPの開催
フォーカスシンポジウムの開催・支援 エリアセミナー(勉強会、研修会)の開催
JCA-CHAAO賞表彰及び記念講演会  
海外教育研修へ若手研究者派遣(STOFFなど)
学会・学術集会・研究会への助成(海外演者招聘に係るトラベルグラントなど) 海外患者会AWFH賛助(定例総会、fashion show)
出版物の刊行(抗癌剤一覧表・ポケットブック、WHO欧州政策提言翻訳本)及び情報公開

貸借対照表(平成30年9月30日 現在)

(単位:円)

科目 金額 科目 金額
(資産の部)   (負債の部)  
流動資産 41,199,432 流動負債 908,528
 現金及び預金 41,199,432  未払費用 908,528
 仮払金 0    
  負債合計 908,528
固定資産 8,551,290 (純資産の部)  
 投資その他 8,551,290 利益剰余金 48,842,194
  敷金保証金 8,551,290  その他利益剰余金 48,842,194
    繰越利益剰余金 48,842,194
(うち当期純利益) 10,394,902
    純資産合計 48,842,194
資産合計 49,750,722 負債純資産合計 49,750,722

損益計算書(自 平成29年10月1日 至 平成30年9月30日)

(単位:円)

科目 金額
経常収益    
 受取寄付金 196,000,000  
 受取利息及び配当金 938 196,000,938
経常費用    
 事業費 114,334,616  
 管理費 71,201,459 185,536,075
営業外収益 39 185,536,036
経常利益   10,464,902
 法人税、住民税及び事業税(注)   70,000
当期純利益   10,394,902

(注)当一般社団法人は、法人税法第2条9-2-イによる「非営利型法人」に該当し、法人税法上は公益法人等として取り扱われ、収益事業から生じた所得のみ課税されます。
当事業年度においては、収益事業を行っておりませんので「法人住民税均等割り」のみの課税となります。

外部支援の内訳

公益財団法人東京生化学研究会 CHAAO事業